『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』を読んだ感想と気づき
経緯・背景
間嶋 沙知さんが書かれた『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』を読みました。この本は先輩におすすめしていただいたものでちょうど、ユーザビリティやアクセシビリティに興味を持ち始めていて、どこから勉強しようか考えていたのでこの機会に読んでみようと思いました。アクセシビリティ初心者でもわかりやすい内容になっていてはじめて読んだアクセシビリティの本がこの本で良かったと思いました。今回は読んでみた感想をまとめました。
気づき・発見
誰かがアクセスできない状況を改善することは、利用者全体のユーザビリティの底上げにもつながります。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.23
本書の内容で印象的に残ったことは、アクセシビリティの改善は利用者全体のユーザビリティの底上げに繋がっているという内容です。アクセシビリティの向上は利用者全体の使いやすさ。それに対し、ユーザビリティはある一定層(ターゲット)に対しての使いやすさを指しています。アクセシビリティがユーザビリティの土台となっているこの関係性を再確認することができたと同時にアクセシビリティの確保がとても重要だと言うことが分かりました。
その配色が演出のためのものか、情報を伝えるものか、目的を意識することが大切です。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.23
配色の役割について理解しました。目的の違いによってその配色が良いなのか悪いのか変わってくるところが配色の難しさなのかなと思いました。直感的に操作できるデザインはユーザーにとって使いやすいものになると思います。色使いが目的を達成させるための補助的な役割となり、使いやすいデザインに変化させることができるというとこを理解しました。
色覚特性によらない情報伝達を考えるうえでは、デザインをモノクロにしてチェックするのも有効です。グレースケールにして伝わるということは、色のコントラストが確保できている状態です。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.42
ブランドカラーや一部のデザインエリアではどうしても見えづらくなってしまう場合があるかもしれません。ですが、ユーザーにとってもわかりやすい配色(デザイン)になるよう意識する必要があります。本書ではカラーフィルタをグレースケールで表示させモノクロの状態でデザインを確認する手法を紹介されていました。モノクロの状態でデザインを確認することで色のコントラストや配色のバランスも確認できるところがいいなと思いました。普段の業務からモノクロでも伝わるデザインを意識して制作していきたいです。
見分けにくい同士を分類するセパレーションカラーは、アプリの通知アイコンにもよく使われています。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.49
セパレーションカラーは、分離させたい色の個性を消さないように無彩色や無彩色に近い色を使用したいと思います。セパレーションカラーは多くの場面で活用できると思うため、しっかり活用できるように覚えておきたいです。
色だけではなく、テキストのラベルやアイコンを加えましょう。複数の手がかりを組み合わせると、より多くの人に確実に情報を届けられるようになります。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.83
情報をわかりやすくできるだけ多くのユーザーに伝えるためには色やアイコン、文字の太さや大きさにも変化をつけることでより伝わりやすいデザインになることがわかりました。色に頼らなくても伝えられるデザインを目指すべきであり、アイコンやラベルは情報を伝える補助の役割として最適な材料になるため活用していきたいと思います。
1文字1文字を独立したシルエットにすることで、読み間違いが起こりにくくなっています。
『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』p.93
UDフォントがどのような作りで読みやすくなっているか理解しました。字面がなるべく大きくなるよう設計されたおり、文字の読み間違いという問題を解決している点にとても感心しました。一般的に読みやすいフォントとして使われているゴシック体は、文字の縦と横の線の太さがほぼ同じ大きさにデザインされているそうです。フォントの作りまで調べたことがなかったので、これを機に知ることができて良かったです。
感想
デザインする時は、誰に届けるのか、何がゴールかなど、ユーザーの目線になって考えます。それは配色も言葉も同じ考え方であり、誰に見てもらうためのデザインなのか見失わないようにしないといけません。同じサービスを届ける場合でもターゲットユーザーが変われば伝え方も変わるため配色も言葉もターゲットの軸をぶらさないように意識していきたいと思います。
基本的なことではあるのですが、いつの間にか製作者やクライアントの主観や好みで制作が進んでしまうケースもあります。本来ならば、利用者側の目線に立ち馴染みのある色合いや言葉を選ぶことが大切です。配色、言葉など一つ一つに気を使うことで結果的にユーザビリティの向上に繋がることも理解できました。
ユーザビリティの向上を目指す上で、一貫性のあるデザインにすることも大切です。制作者側でアイコンやボタンなど機能や意味に一貫性を持たせたいものについては一覧にまとめておくことで間違いや重複を防ぐ対策になると思いました。
本書を読んでアクセシビリティの価値を再確認することができました。ユーザーの困った!を解決するアクセシビリティを知ることでデザインに対する視野が広くなりました。対象ユーザーはその都度、変わるものですが、課題や要件に対して解決策となるアイデアを引き出してこれるようにこれからもアクセシビリティの知見を増やしていきたいと思います。また、本書を読んでタイポグラフィやライティングなど、他のテーマについても興味を持つことができたので良かったです。