デザインする前に意識すべきこと


かんたんに紹介

本書はあらゆる情報を人と人とが整理していく中で起こる混乱や誤解に対してなぜ問題が発生してしまうのか、

クライアントとの会話を進めていく中で、うまく情報を整理することができないのかを7つの段階を踏みながら注意点と本質的な原因をわかりやすく説明がされています。

本書で多用されている「混乱」とは、何かがわかりにくく困難を極めているあらゆる状況のことを指します。

例として以下のようなものがあります。

  • チームや組織の構造
  • 共同作業への取り組み
  • 製品やサービスの説明
  • お互いのコミュニケーションの取り方

さまざまな混乱を解きほぐして整頓することをセンスメイキングと呼んでおり、読者がきちんとセンスメイキングができているかどうか確認ができるよう、例題を持ち入りながら読者の振り返りをサポートしてくれる内容となっています。

学生でも画家であろうとどんな職業でも人と接触する場面があればこの本の対象者に含まれています。

今回はデザイナーの立場で考えてみました。これからお仕事をしていく上でどのような行動をしていかないといけないのか大切な部分をピックアップし要約してこうと思います。

広範囲の職業の方に当てはまるよう説明がされているため、抽象的に語られている部分が多いですが、自分の身において考えてみるとソフトスキルの大切さを理解することができると思います。

なんとなくまとめる

異なった解釈は多くの混乱を生み出している。

第一章では混乱を見極めるをテーマに自分が立たされている状況の把握とそこから起こりうる混乱の条件や原因について語られています。

クライアントとデザイナーとの間で意見のすれ違いや混乱を招くようなことは未然に防ぐ必要があります。

成果物の目的や定義を決定していくことも大事ですが、クライアントからの信頼度も含め丁寧なヒアリングをしていくことが、プロジェクトをスムーズに進めていける要因になってくると思います。

要件やコスト、期限など説明を受けた後、十分に理解できず困惑した状況のままスタートしてしまうとスケジュールの調節がうまくいかず予定の期限よりも遅れてしまったり、プロジェクトを進めていく内にコンセプトのズレが発生し、後から課題を見つけた場合など、混乱する恐れがあります。

要するに共同作業において明確な方向性や同意がなければ錯綜した状況に陥ることになります。自分の周りでなにが起こっているのかを、それぞれのやり方で理解してしまうと当然混乱を招いてしまうので、注意しなければなりません。

混乱を未然に防ぐことはとても難しいことです。重要なのはその都度、課題の大きさと原因の深さを把握することです。

デザインを実現させる

本書の中で、とても大事だと感じ箇所が第二章で語られている「意図を表明する」というテーマについてです。

選ぶ言葉の重要性について考えさせられるよう語られています。

ここでの意図とは、私たちが何かあるものに持たせたい効果のことを指します。私自身はデザインの成果物に例えて読むことにしました。

当たり前ですが、クライアントと計画を立てていくためには言葉(会話)が必要で、アイデアをものごとにするためには言葉で伝えなければなりません。

ユーザーやクライアントにとって良いデザインは何か定義して開ければ目的に沿った成果を出すことはできません。もし仮に、クライアントが思う「良い」定義を明確にできていない場合、デザイナー側はうまく言葉を使えていないことになります。

何が良いデザインなのか明確に理解できていないとこは本書のテーマである「混乱」を招くことになってしまいます。

目的に沿った成果物を実現するにはクライアントにとっての良い定義を聞き出す力とクライアントの言葉を理解する力、それらを踏まえデザインした意図を伝える力が必要となっていきます。

言葉を交わすことはとても大切なことですが、難しいことでもあります。言葉はたくさんの表現の仕方、言い回しが存在し、さらに捉え方についても人によって様々です。

例え優れたスキルを持っていたとしても聞き出す力、理解する力によってはデザインの幅を制限してしまう可能性があります。良い定義について意思疎通を行うことは成果物のクオリティーに関わってくるため作成前には丁寧に行わなければなりません。

クライアントが良いと思うものを生み出しているつもりでも判断しているのは制作しているデザイナーの視点であるため、混乱がないかすり合わることで完成に近づけていくことができます。

要するにデザイナーが意思決定したものとクライアントが良いと信じている定義についても考慮し、バランスを図らなくてはいけないのです。

さいごに感想

今回、この本を呼んで「〜のために」という考えから「〜とともに」デザインするという考え方に変わりました。

ヒヤリングやデザインの具現化などはじめは一方通行の印象が強く相手の期待に答えることだけがが全てでしたが、聞き方や捉え方に意識を傾けることで理解しやすくなったりデザインイメージが浮かびやすくなったりと助けられることもあるということが実感できるようになりました。

この本を読んだからといってヒヤリングがうまくなったり、話す力が身につくわけではありません。ですが、誤解の少ない情報設計をすることに意識を向けるだけで以前よりも制作しやすくなることも事実だと思います。

今回の内容を定期的に振り返りながら、これからのお仕事に繋げていきたいと思います。


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